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束の間の楽園 第2話

「束の間の楽園」

~第二話 真実の海 ~

 

著:MarginLayer

 

この暑い日差しの中、真っ白な砂浜の中ふと気が付くと私は一人だった。

 

何故だかわからないがここが危険だと本能が警告音を鳴らしている

 
しかし、危険だとわかりながらも、この灼熱の中から逃げるのは、あのヒンヤリとした涼しそうな海に入るしか手はない。そう決めつけ
 
私は服を脱ぎ捨て海に入水した
 
そして、砂浜に誰も居ない理由が今になって理解できた
 
いざ、海に入ってみると、そこには生物が一匹もおらず、一言でいうと死海、あまりにも残酷だが
 
この海は汚れている、一度立ち入ればもう、元には戻れないほどに水質は酸性に変化し、気が付いた時には、皮膚は皮から肉が見えるほど酷に溶けだしていた。
 
そして、なぜ自分自身、海にはいっていたのかもわからなくなっていたのだ
 
そう、海は今や廃棄物により汚染されて、近寄る者の意識を混濁させ、あたかも美しい海を装い誘い込む
 
死への手を招く場所に変わっていたのだ。
 
私の体は筋肉も溶け出し、遂には骨の髄に至るまで無くなりかけていた
 
消えゆく魂の片隅で走馬灯のように一つの光景が浮かび上がってきた
 
私は、ここに来る前、人により作られた機会と戦っていたのだ、そう、反政府軍として
 
その戦いに敗れた私達は此処に連れていかれ、1人、また1人と
 
仲間たちがおかしな言動を呟きながら汚染された海に入り、消えていった・・・
 
そして、気が付いた時には私もその一人になっていたのだ。
 

fin

束の間の楽園 第1話

「束の間の楽園」

~第一話 懐かしの海 ~

 

著:MarginLayer

 

ある日、僕は目覚めると目の前の世界には海が広がっていた。

 

それが本当に海だ、という確証は無かった、ましてや海などというものは見たこともなかった。

 

しかし、何処かに懐かしさなのだろうか、母のような温かみがそこには確かにあった。

 

一度は海を見てみたい、そう夢を見ていた頃の、好奇心あふれる子供心を今まで忘れていたのは何故だろうか。

私は山岳の中腹で生を得た。夏は蒸し暑く、冬は凍えるように寒い、
 
とても快適だとは言えない様な環境下で育った。一つだけ引っかかるのは、一度も子供の頃に広大な水たまりである”海”を見たという記憶が何処にも見当たらないということだ。
 
しかし、この炎天下の中、蒼天に輝く灼熱の熱波を降り注ぐ日差しの中から解放されたいという衝動に駆り立てられた
 
目の前には水平線上に真っ直ぐに広がる緑蒼の水平線
 
そして私は海に入ることを決意した
 
この暑い日差しの中、真っ白な砂浜の中、ふと気がつくと私は一人だった。
 
 
第2話続く

就職活動でインターンに行く意味

 就職活動、何とか終了しました。 大学卒業まであと、数百日を残した4年生の春。企業のインターンも行ったことが無い、SPI?みたいな名前の算数の問題集も解いたことが無い、極めつけは指定校推薦で職業高校から進学したピュアな青年。 そんな私、この不景気で新型コロナウイルス感染症が蔓延し...