「束の間の楽園」
~第二話 真実の海 ~
著:MarginLayer
この暑い日差しの中、真っ白な砂浜の中ふと気が付くと私は一人だった。
何故だかわからないがここが危険だと本能が警告音を鳴らしている
しかし、危険だとわかりながらも、この灼熱の中から逃げるのは、あのヒンヤリとした涼しそうな海に入るしか手はない。そう決めつけ
私は服を脱ぎ捨て海に入水した
そして、砂浜に誰も居ない理由が今になって理解できた
いざ、海に入ってみると、そこには生物が一匹もおらず、一言でいうと死海、あまりにも残酷だが
この海は汚れている、一度立ち入ればもう、元には戻れないほどに水質は酸性に変化し、気が付いた時には、皮膚は皮から肉が見えるほど酷に溶けだしていた。
そして、なぜ自分自身、海にはいっていたのかもわからなくなっていたのだ
そう、海は今や廃棄物により汚染されて、近寄る者の意識を混濁させ、あたかも美しい海を装い誘い込む
死への手を招く場所に変わっていたのだ。
私の体は筋肉も溶け出し、遂には骨の髄に至るまで無くなりかけていた
消えゆく魂の片隅で走馬灯のように一つの光景が浮かび上がってきた
私は、ここに来る前、人により作られた機会と戦っていたのだ、そう、反政府軍として
その戦いに敗れた私達は此処に連れていかれ、1人、また1人と
仲間たちがおかしな言動を呟きながら汚染された海に入り、消えていった・・・
そして、気が付いた時には私もその一人になっていたのだ。