遺伝の規則性
古くから、作物や家畜などで系統や血統を考慮して、優れた品種を生み出そうとする努力を行ったが、期待した結果は得られないままだった。
そこで、メンデルがエンドウを用いて形質(生物の性質などの特徴)のもとになる因子を想定した。
この因子が遺伝子であり、親から子へ受け継がれている。
一遺伝子雑種
エンドウの種子の形質である”しわ”と”丸”のように異なる形質(対立形質)を構成する一対遺伝子に着目した交配で、しわ因子だけを持つ種子と丸因子だけを持つ種子を交配させた場合、その子(雑種第一代)にはどのような形質が現れるか、さらに雑種第一代を自家受粉させ、生じた子(雑種第二世代)にはどのような形質が現れるかを調べた。
表1.エンドウの種子の交配結果
種子の形
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親
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丸×しわ
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雑種第一代
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丸
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雑種第二代
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丸:しわ
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分離比
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3:1
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結果として、表1のようになる。
結果から雑種第一代では対立形質の一方だけが現れた。これを優性形質と言い、現れなかった方を劣性形質と呼ぶ。
優性形質だけが現れる法則を優性の法則と呼ぶ。
分離比が3:1となる理由として、メンデルは遺伝子はAAのように二つで一組になっているとし、優性を大文字、劣勢を小文字としてあらわした。このように、対立形質を形成する遺伝子を対立遺伝子と言う。
また、遺伝子の構成を遺伝型、しわや丸などの目に見えた形質を表現型という。
表2.遺伝による遺伝子の分離
親
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AA(丸)
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aa(しわ)
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雑種第一代
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Aa(丸)
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Aa(丸)
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雑種第二代
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AA(丸)
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Aa(丸)
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Aa(丸)
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aa(しわ)
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表1の結果を遺伝子から見ると表2のようにあらわせる。
表2のようにAを優性形質、aを劣性形質とすると、雑種第一代ではそれぞれの遺伝子が分かれて入ってることがわかる。これを分離の法則と言う。
「ホモ結合」
AAのように同一遺伝子の組み合わせを持つ個体
「ヘテロ結合」
Aaのように対立遺伝子の組み合わせを持つ個体
「ホモ(Homo)の意味として、ヨーロッパ諸国において同じ、よく似たとの意味を持つ。また、ヘテロ(hetero)は対義語であり、異なる、異種のと言う意味をもつ。」